「何か良い包丁、ないかなー」
お店でそう声をかけてくださるお客様の多くは、すでに牛刀もペティナイフも使いこなしている。 日々の料理をスマートにこなす道具は一通り揃っているし、整えられたキッチンで手際よく料理を作る生活は心地いい。なによりもタイパがいい。 けれど、どこか心の奥底で、なんとなくもう少し。 「人とは違う、自分だけの特別な1本が欲しい」
そんな欲求をくすぶらせているお客様に、 「ハイブリッドって、使ったことありますか?」 異次元の切れ味と扱いやすさを両立する「ハイブリッド」をオススメする。
基本的に包丁はサンドイッチ構造だ。 芯材に高品質の鋼材を使用し、外側はより柔らかい鋼材を使用する。
※「ハイブリッド」とは、いわばいいとこ取り。 外側には手入れがラクなステンレスを使い、一番大切な芯材に、青紙スーパーや青紙2号を用いる。
効率を最優先するなら、すべてステンレスでいい。 しかし、食材の断面を細胞レベルで美しく断ち切れるのはハガネ。 「ハガネの最高の切れ味」と「ステンレスの扱いやすさ」。その両方を良いとこ取りしたのが、このハイブリッドという構造だ。
「ひと通り揃っているなら、こんなかわいい子はどうですか?」 そう言ってカウンターへ差し出すのが、今回ご紹介する「中三徳(ちゅうさんとく)」だ。 日本独特のサイズ感。 一般的な三徳包丁(170mm前後)よりも一回りコンパクトな、150mm前後のスケール感。 「大は小を兼ねる」と思っていたら、ちょっと残念。
このハイブリッド中三徳は、牛刀の確かな切りくちと、ペティナイフのような軽快な取り回しの良さを併せ持つ。肉、魚、野菜。どんな食材にもすっと寄り添い、二人で並んで立つキッチンでも邪魔にならない。 小回りが利いて、サブ的な位置は誰にも譲らない。 既存の定番を揃え終えた人が試してみたくなる、知的なサイズ感だ。

「大は小を兼ねる」とは言わせない、150mm前後の絶妙なスケール感。
始まりは、樫のハンドルから。
最高の鋼材構造(ハイブリッド)と、くすぐったいビミョーなサイズ感。 今回私たちが選んだ中三徳は、元の表情が「樫(かし)のハンドル」。飾り気のない実用的な1本だ。 手入れの手間はほんの少しあるけれど、その分の愛着と、自分だけの道具を育てる歓び。 定番を揃えた先に現れた、この「ちょっと変わった存在」。 でも、この包丁の真のポテンシャルはこれだけでは済まされない。
次回は、この素朴な1本を、自分たちの美意識とワガママで完璧に昇華させる「柄(ハンドル)のカスタマイズ」へ。手頃なプライスで叶える「誂え(カスタム)」の快感を、ご紹介。





