魚をさばくのに出刃を使わず、三徳包丁で対応している人は多いのではないだろうか。
「わざわざ出刃を揃えるのはもったいないような、面倒なような」——そんな感覚を否定はできない。あれば便利なんだろうけど、わざわざ魚をさばかないかもだし。
実際、イワシや秋刀魚のように身も骨も柔らかい魚は、分厚い出刃で扱うと繊細な身を崩してしまうことすらある。そんなとき、ハガネの三徳包丁を使えば、この柔らかい身を驚くほど美しくさばくことができる。
今回ご紹介するのは、出刃はなくても美しく魚をさばくことを可能にする包丁。
「Stain-less(染みがない・汚れない)」という名の通り、ステンレスは手入れの手間が少なく都合の良い素材ではある。
しかし、一刃入れたときの刃先の鋭さと切れ味の冴えは、やはりハガネには敵わない。今なお日本料理の現場でハガネの包丁が選ばれ続ける由縁がそこにある。戦前ならまだしも、ステンレス包丁が一般化している現代日本では、ハガネの包丁自体が珍しいことなのかもしれない。
そのハガネの包丁、最たる例が刺身包丁だが、身近な例としてそれを可能にするのが、三徳包丁だ。
そのしなやかで薄い刀身は、柔らかい秋刀魚の姿をも美しく変えていく。
頭を切り落とし、ハラワタの始末、皮を剥ぎ、切り付けに至るまで、流れるような手さばきを支えてくれる。
この一連の美しい流れを可能にする、ハガネの三徳包丁。 手にする価値、そして試してみる価値は十二分にある。




