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【初心者向け】出刃包丁の裏すき・裏押しとは?「裏すき・裏押し」の基本と注意点

魚をさばくたびに、「やっぱり出刃包丁がほしいな」と感じたことはありませんか?三徳包丁でもなんとかできるけれど、骨に当たって、刃がかけた!そんな経験がある方にこそ、片刃の出刃包丁をおすすめします。

出刃包丁は、見た目以上に繊細な構造をしています。とくに「裏すき」と「裏押し」という裏面の仕上げは、片刃包丁の命とも言える部分。この2つの意味を理解することで、包丁の切れ味や寿命を大きく変えるメンテナンスの考え方が見えてきます。

この記事では、出刃包丁をこれから手にする初心者の方へ向けて、
☆裏すき」「裏押し」とは何か
☆どこまで自分で研いでいいのか
☆どんなときにプロに頼むべきか
これらの疑問を實光刃物が専門的な視点からわかりやすく解説します。

包丁を長く使う第一歩は、構造を正しく知ることから。プロも信頼する實光刃物の包丁づくりは、こちらからご覧いただけます。

釣りで魚を持ち帰ったとき、「家でちゃんとさばいてみたい」と思う人は多いはず。しかし、三徳包丁では骨に当たって刃が欠けたり、身が崩れてしまうことも。そんなときこそ力を発揮するのが、魚専用の包丁・出刃包丁です。まずは、三徳包丁との違いから見ていきましょう。

釣った魚を自分でさばきたいと思ったきっかけ

休日の楽しみは釣り。タイやアジを釣って帰り、家で三徳包丁を手にして「よし、さばくぞ」と意気込んだものの!

骨に当たって刃が欠けたり、皮がズルッと滑ったり。包丁が安定しないと、手を切ってしまったり、切り損じてしまったり、ミスやけがにつながる場合もありますね。そんなとき、「やっぱり出刃包丁が欲しいな」と感じたことはありませんか?

最初は三徳包丁で挑戦したものの、魚の骨や皮に苦戦。

最初は三徳包丁で挑戦したものの、魚の骨や皮に苦戦。

三徳包丁との違いを感じた瞬間

三徳包丁は“万能”という名の通り、野菜・肉・魚なんでも切れますが、魚の骨を断つ力と身を傷つけずに切る繊細さは出刃包丁にかないません。
出刃は厚みがあり、刃元に重みがあるため、力を包丁に任せて切れるのが魅力。初めて使うと「包丁が仕事をしてくれる」感覚に驚きます。

可能であれば、鱗取りも一緒に使うと、作業スピードがぐん!とあがります。

白二出刃包丁裏側 R2洋(SG2)三徳包丁裏側
出刃包丁(裏スキあり) 三徳包丁(裏スキなし)

【左が出刃包丁、右が三徳包丁。厚みと刃角がまったく違う。】

家庭用にちょうどいい出刃包丁を選ぶポイント

家庭で魚をさばくなら、刃渡り15cm〜18cmが扱いやすいサイズ。最初は手頃で研ぎやすい、本割込み(地金と鋼の合わせ)俗にいう、【あわせ】と呼ばれる一般的な包丁がおすすめです。

【家庭で扱いやすい165mm。厚みと重心が骨に強く、魚を美しくさばける一本】

【家庭で扱いやすい165mm。厚みと重心が骨に強く、魚を美しくさばける一本】

【日本鋼】 出刃 ¥11,220

 ▶︎ 實光刃物の出刃包丁一覧はこちら

出刃包丁のはじまりと歴史

出刃包丁のルーツは江戸時代初期、大阪・堺の鍛冶職人が作った一丁から始まったといわれています

その職人の名は「出刃宗次(でばそうじ)」と言われています。魚をさばくために刃を厚く設計したのがきっかけで、 彼の名前から「出刃包丁」という呼び名が生まれたと言われています。当時の魚屋や料理人たちがその実用性に驚き、やがて日本中に広まっていきます。 重厚で切れ味が鋭い構造は、江戸の食文化を支える道具として欠かせない存在となりました。

現代では、ステンレス素材や家庭用サイズの出刃も登場しています。プロの現場だけでなく家庭でも扱いやすく進化しています。 職人の伝統と現代の暮らしがつながる包丁。それが、今の出刃包丁なのです。

初めて知った「片刃」と「裏すき・裏押し」の関係

出刃包丁を手に取ると、まず気づくのがその厚みと重量感。そして裏面を見てみると、三徳包丁にはない“くぼみ”や“平らな面”があります。これこそが、出刃包丁の切れ味を支える秘密。「片刃構造」と「裏すき・裏押し」です。

一見むずかしそうに見えますが、仕組みを知ると使い方がぐっと楽になります。

片刃と両刃の違いって?初心者にもわかる見分け方

三徳包丁は両刃。つまり左右どちらからも刃がついています。
一方で出刃包丁は片刃。裏面にはわずかな凹み(裏すき)があり、切るときに食材が離れやすくなる構造です。

白二出刃包丁裏側

【裏面のくぼみ「裏すき」が、魚の身離れを良くしてくれる】

【出刃包丁の裏すきを拡大した写真】

【出刃包丁の裏すきを拡大した写真】

🔹 片刃と両刃の違いを比較表で見る

特徴 片刃包丁(出刃など) 両刃包丁(三徳など)
刃の構造 片面のみ刃がつく 両面に刃がつく
切れ味 食材に吸いつくように切れる 真っ直ぐ安定して切れる
向いている用途 魚の三枚おろし・刺身 野菜・肉・家庭料理全般
研ぎ方 裏押しを意識して研ぐ 両側均等に研ぐ
注意点 利き手専用(右・左あり) どちらの手でも使える

一目でわかるように、片刃は“プロっぽい構造”、両刃は“オールラウンド型”。釣りや魚料理が多い家庭なら、片刃の出刃を一本持つと世界が変わります。

ここで一点非常に重要なのが、利き手用の出刃を使用するということです。ここまで説明したように、出刃は片刃包丁のため、左利きの方が右利き用の出刃を使用することはできません。

日本鋼左利き用出刃150

【日本鋼左利き用出刃150 ¥16,830】

「裏すき」とは?裏のくぼみが切れ味を支える

裏すきがあることで、刃が食材に吸い付かず、摩擦が減ってスッと切れる。また、裏面の平らな部分「裏押し」があるおかげで、研ぎやすく、常に刃先をまっすぐ保つことができます。裏面のくぼみ「裏すき」が、魚の身離れを良くしてくれます。

両刃・片刃の構造説明

【裏押しは、刃先を安定させる重要な面】

裏すきと裏押しの役割まとめ

部位名 位置 役割 メンテナンスポイント
裏すき 刃裏の中央〜全体 食材離れを良くし、摩擦を減らす 研ぎすぎて消さないよう注意
裏押し 刃裏の刃先側 研ぎの基準面・切れ味の安定 軽く当てて均一に磨く
裏面全体 平らな構造 切断面をまっすぐ保つ 水分を残さず保管すること

この2つの構造を知るだけで、出刃包丁の「なぜ切れるのか」がぐっと分かりやすくなります。

裏押し研ぎはどこまで自分でやっていいの?

家庭での研ぎは、切れ味が少し鈍ったときに裏押し部分を軽く整える程度で十分です。裏面を強く押しつけて削りすぎると、裏すきが浅くなり、食材の離れが悪くなってしまいます。

目安としては、砥石の上で2〜3回、裏押し面を“なでるように”研ぐくらい。刃の先端が再び滑らかに光り出せばOKです。「刃先を戻す研ぎ」と「形を直す研ぎ」は別もの。後者(形を整える研ぎ)は、職人の感覚が必要な領域です。

もし研いでも刃先が立たない、あるいは裏のくぼみが見えにくくなってきたら、そのときこそプロの出番。焦らず一度、専門店に相談するのが安心です。

💡ワンポイント:
實光刃物では、お客様の包丁状態を確認しながら「家庭で研げる範囲」や「職人が整えるべき部分」をアドバイスしています。迷ったらお気軽にご相談ください。

初めての出刃包丁で魚をさばいてみた!

理屈がわかったところで、実際に出刃包丁を使ってみました。最初は緊張しますが、魚に刃を入れた瞬間、その切れ味の違いがはっきりわかります。ここでは、初めて出刃で魚をさばいた体験と、使って感じたメリット・注意点を紹介します。

初めて出刃でタイをさばいた感想

最初に使ったのは、實光刃物の家庭用出刃(165mm)。鯛の頭を落とすときも、刃が骨にスッと入る感覚に感動しました。「同じ魚でも、包丁が違うとこんなに楽になるのか」と実感!

出刃魚をさばく

【包丁の重みを活かして、力を入れずに骨を断ち、身をはがす】

使って気づいたメリットと注意点

メリットは、身割れしにくく、切り口が美しいこと。注意点は、刃が片側に寄っているため、右利き用・左利き用がある点です。また、使用後は水分を拭き取り、錆びを防ぐのも大切です。

これから出刃を使う人に伝えたいポイント

出刃は扱いが難しそうに見えて、実は研ぎやすい包丁です。
裏すき・裏押しの構造があることで、刃先の位置が分かりやすく、初心者でも少しずつ研ぎの感覚をつかめます。

どんなときにプロに頼むべき?

出刃包丁を長く使っていると、少しずつ裏すきが浅くなり、刃のあたりが重く感じるようになります。
そんなとき、「そろそろ研ぎ直しかな?」と思う方も多いはず。

プロに依頼する目安は、次のような状態です。

1,裏すきがほとんど見えなくなったとき
2,裏押しの線が広がって、研いでも刃がつかないとき
3,欠け・錆びが大きく、自分では整えきれないとき

職人による再研磨は、単に刃を研ぐだけではありません。裏すきの形を整え、刃先の角度を再調整し、包丁全体のバランスを元に戻す作業です。「プロに出すのはもったいない」と思う方もいますが、一度仕上げ直した出刃は、新品のような切れ味と安定感を取り戻します。

實光刃物では、裏すき修正や全体研ぎ直しのご相談を常時受け付けています。長年使ってきた1本こそ、ぜひ職人の手で蘇らせてください。

出刃包丁研ぎ方

【裏押し部分を意識して、軽く当てるだけでOK。】

實光刃物 研ぎ師Ryotaが、レクチャーしています。

家庭用でも本格派、出刃包丁の魅力

出刃包丁を長く使うためには、日々の小さなケアが欠かせません。とくにおすすめしたいのが、仕上げ砥石・刃物油セットです。仕上げ砥石で刃先を軽く整えたあと、布に少量の刃物油を含ませて全体を拭くだけで、錆びの発生をぐっと抑えられます。
包丁は「使いながら育てる道具」。最初は緊張していた出刃も、手に馴染む頃には自分だけの一本になります。魚をおろすたびに、刃が“あ、今日も切れるな”と応えてくれる

實光刃物のメンテナンス用品はこちら

そして、裏すき・裏押しという構造は少し専門的に見えますが、知っておくだけで研ぎも扱いも格段に上達します。出刃包丁はプロの道具と思われがちですが、家庭でも十分に使える頼れる一本です。仕組みを理解し、少し手をかけるだけで、長く使い続けられる“相棒”になります。これから魚をさばく時間が、もっと楽しく、もっと美味しくなるはずです。

「家庭用でも、きちんとした一本を持ちたい」と思う方には、▶︎ 實光刃物の出刃包丁ページ をぜひご覧ください。
 あなたの“釣った魚を美しくさばく”時間を、きっと楽しくしてくれます。

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)
「實光刃物(じっこうはもの)」は大阪の堺で明治33年に創業し、包丁(刃物)の製造と販売をしています。一期一会の精神で、お客様との瞬間を大切に。切れ味へのこだわりを胸に、日々技術の向上に励んでいます。技術の継承と共に、将来は世界中で愛される堺包丁のブランドを築き上げる夢を抱いています。
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