家庭で毎日使う包丁。「最近、切れ味が悪くなった気がするけど、研ぎに出す?自分で研げる?」──そんな疑問を感じたことはありませんか?包丁の研ぎ頻度やタイミングは、使う頻度や食材、包丁の素材によって大きく変わります。
本記事では、家庭での包丁研ぎの目安・最適なタイミング・簡単なメンテナンス方法を、初心者の方にもわかりやすく解説します。砥石を使う場合と簡易研ぎ器を使う場合の違い、そして「研ぎすぎを防ぐコツ」まで、プロが実践するノウハウを家庭向けにまとめました。
なお、實光刃物 では、プロの料理人から一般のご家庭まで幅広く愛される高品質な包丁を製造しています。包丁の種類ごとの特徴や選び方については、公式サイトhttps://www.jikko.jp/ もあわせてご覧ください。
包丁を長く愛用するために欠かせないのが「研ぎ」。研ぐ頻度については、「一般的には1〜2か月に1回程度が目安」と言われることが多いですが、実際には包丁の鋼材や使い方によって大きく異なります。實光刃物の家庭用包丁で多く使われているVG10などのステンレス系鋼材の場合、一般家庭ではおおよそ2〜3か月に1回が目安と言えるでしょう。
家庭用包丁の平均的な研ぎ周期とは
一般的な家庭では、毎日料理をする場合で「2〜3か月に1回」、週に数回の使用なら「3〜6か月に1回」が理想的です。特に、トマトや鳥皮など包丁がなんとなくひっかかるな、滑るなと感じるようになったら、それは研ぎ時のサインです。
包丁の切れ味は、目に見えないほど細かい刃先の「摩耗」(まもう)が原因で落ちていきます。放置すると、切る際に余計な力が入り、刃こぼれや欠けの原因にもなります。定期的に軽く研ぐことで、刃の寿命を延ばし、いつでも気持ちよく料理ができる状態を保てます。※摩耗(まもう)とは、物体の表面がこすれたり、擦れ合ったりすることで少しずつ削られて減っていく現象を指します。
使用頻度・食材で変わる研ぎタイミング
包丁は使う頻度だけでなく、「何を切るか」によっても刃の減り方が異なります。
たとえば以下のような傾向があります。
☆硬い野菜(かぼちゃ・ごぼうなど)をよく切る方:1〜2か月に1回
☆肉・魚を中心に使う方:2〜3か月に1回
☆柔らかい食材(果物・薬味中心)の方:3〜6か月に1回
つまり、「月単位で一律に研ぐ」よりも、「切れ味が落ちたと感じたタイミングで早めに研ぐ」ことが包丁を痛めないコツです。
上記は弊社研ぎ師Ryotaの初心者用研ぎ方レクチャーです。是非参考にご覧ください。
ステンレス包丁と鋼包丁の違いを知ろう
包丁の素材によっても研ぎの周期は変わります。
☆ステンレス包丁:錆びにくく手入れが簡単。切れ味の持ちは良いが、研ぎにくい素材のため、2〜3か月ごとの軽い研ぎがおすすめ。
☆鋼(はがね)包丁:切れ味の鋭さが魅力。ただし錆びやすいため、1〜2か月ごとの定期的な研ぎが理想です。
どちらも共通して言えるのは、「使い心地が変わったと思ったら、早めに研ぐ」こと。早めのメンテナンスが結果的に包丁の寿命を延ばします。家庭で研ぐ頻度を見極めることは、「切れ味を保つ」だけでなく「包丁を育てる」第一歩でもあります。
次章では、初心者が悩みやすい 「砥石と簡易研ぎ器、どちらを使えばいい?」 という選び方について詳しく見ていきましょう。
砥石と簡易研ぎ器、家庭ではどちらを使えばいい?
包丁を研ぐ道具として代表的なのが「砥石」と「簡易研ぎ器(シャープナー)」。どちらを使うべきか迷う方も多いですが、目的とスキルによって使い分けるのが正解です。それぞれの特徴を理解して、両方をうまく使い分ければ、家庭でも十分にプロ並みの切れ味を維持できます。
「両面砥石(左)と簡易研ぎ器(右)──どちらも家庭で使える研ぎ道具」
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砥石研ぎの特徴と初心者でもできるコツ
砥石による研ぎは、包丁を研ぐ方法の中でも最も基本的であり、“王道”ともいえる方法です。自分で刃の角度を調整しながら研ぐため、最初は少し難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると切れ味を長く保てるようになります。
包丁を研ぐための砥石には「番手(ばんて)」と呼ばれる番号があり、これは砥石の粒の粗さを示します。 番手が小さいほど粒が荒く(荒砥〈あらと〉)、大きいほど粒が細かく(仕上げ砥〈しあげと〉)なります。
砥石は大きく3種類に分けられます。
刃の欠けを直すときに使うのが「荒砥(あらと)」、日常的な研ぎに最適なのが「中砥(なかと)」、そして刃先を滑らかに整えるのが「仕上げ砥(しあげと)」です。この3種類を用途に合わせて使い分けることが、包丁を常にベストな状態に保つためのポイントです。
理想的な組み合わせは、中砥(#1000前後)を中心に、必要に応じて荒砥(#400前後)や仕上げ砥(#3000以上)を使う方法です。
家庭で月に1〜2回ほどの軽い研ぎであれば、中砥だけでも十分な切れ味を維持できます。

⭐︎弊社研ぎ師のRyotaが試行錯誤を繰り返し開発したオリジナルの砥石です。
シャープナーと併用するには非常にお勧めです。月に1度ほどご使用いただき、年に1度はしっかりプロに出すのも安心な包丁の使い方です。

初心者が砥石研ぎを上手に行うポイントは以下の3つです。
☆刃先の角度をおよそ15度前後にキープ
☆研ぐ回数は左右交互に均等に(片側だけだと刃が歪む)
☆研ぎ後はしっかり水分を拭き取り、自然乾燥させる
初めは難しく感じても、正しい方法を身につければ研ぐたびに切れ味が増し、包丁に愛着が湧いてきます。
實光刃物では、家庭向けに扱いやすい中砥石(なかといし)・仕上げ砥(しあげと)も取り扱っています。
詳しくは 公式砥石ページ をご覧ください。
簡易研ぎ器のメリット・デメリット
「砥石はハードルが高い」と感じる方に人気なのが、簡易研ぎ器(シャープナー)。
包丁を数回引くだけで手軽に切れ味を戻せるため、日常的な軽いメンテナンスには最適です。シャープナーは本格的な刃先の研ぎ直しではなく、刃の表面に摩擦を増やすことで、一時的に切れ味を向上させる仕組みです。そのため、鋭さの持続力が短く、プロが求めるような精密な仕上がりを期待するのは難しいでしょう。
おすすめの使い方は、「普段は研ぎ器でお手軽メンテナンス、数か月に一度は砥石でリセット」
おすすめの使い方は、「普段は研ぎ器でお手軽メンテナンス、数か月に一度は砥石でリセット」。
これが家庭での理想的なバランスです。
〈比較表〉砥石 vs 簡易研ぎ器
| 比較項目 | 砥石 | 簡易研ぎ器(シャープナー) |
| 研ぎの精度 | 高い(刃先まで鋭く仕上がる) | 中程度(軽いメンテ向き) |
| 使いやすさ | 習得に少し練習が必要 | 置いて引くだけで簡単 |
| 所要時間 | 約10〜15分 | 約1〜2分 |
| 刃への負担 | 少ない(正しい角度で研げる) | やや大きい(刃先が削れやすい) |
| おすすめ頻度 | 2〜3か月に1回 | 1〜2週間に1回 |
| 向いている人 | 包丁を長く大切に使いたい人 | 手軽に切れ味を戻したい人 |
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「目的に合わせて使い分けるのが理想」 両刃専用 ウォーターシャープⅢ(右側写真)
両方を上手に使い分ける方法
実は、多くのプロ料理人も砥石と簡易研ぎ器を併用しています。
包丁を常にベストコンディションに保つには、以下のようなサイクルが効果的です。
☆毎週または2週に1回:簡易研ぎ器で軽く整える
☆2〜3か月に1回:砥石で本格的に研ぐ
☆使用後は毎回:水分を拭き取り、刃先を保護
こうした小まめなケアを習慣にすることで、包丁は驚くほど長持ちします。
特に實光刃物の包丁は鋼の質が高く、定期的な軽い研ぎだけでも切れ味が蘇る設計です。
上記は弊社研ぎ師Ryotaの初心者用研ぎ方レクチャーです。是非参考にご覧ください。
こうした小まめなケアを習慣にすることで、包丁は驚くほど長持ちします。特に實光刃物の包丁は鋼の質が高く、定期的な軽い研ぎだけでも切れ味が蘇る設計です。
切れ味が落ちたときの正しい対処法
「前よりトマトの皮が切りづらい」「ネギがつぶれる」──そんな瞬間が“研ぎどき”のサインです。ただし、いきなり砥石を使う前に、簡単なメンテナンスで切れ味を戻せるケースもあります。ここでは、切れ味低下の見極め方と、正しい対処ステップを紹介します。
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「トマトの皮がスッと切れないのは、研ぎどきのサイン」
切れ味が落ちたサインを見極めよう
包丁の切れ味がよいということは、食材の細胞をきれいに切断できるということ。きれいに切断できると見かけが美しいだけでなく、細胞が壊れた断面から、水分が流出することも防げるので、素材の食感も保つことができます。特にお刺身などはそれが顕著に現れます。しかも、実は、切れ味のよい包丁を使うと食材の雑味や苦みを抑えることができます。
そんな本格的なお味も、ちょっとした普段の心遣いでご家庭で体験していただけます。
包丁の切れ味が落ちたかどうかは、以下の3つで判断できます。
☆トマトや玉ねぎがつぶれる
☆食材の断面がざらつく・白っぽくなる
☆力を入れないと切れない・すべる感覚がある
これらが見られたら、すぐに研ぐか、軽いメンテナンスを行いましょう。
特に「ステンレス包丁」は切れ味の低下が緩やかなので、変化に気づきにくい点にも注意が必要です。
研ぐ前に試したい「軽いメンテナンス」
実は、切れ味が落ちてもすぐに砥石研ぎをする必要はありません。まず試したいのが、以下の「軽メンテ」。
シャープナーで数回引きをすることによって、日常の簡単な研ぎに値します。手軽な応急処置として最適です。これでもいよいよ改善できなくなった場合は、いよいよ砥石の出番です。毎回砥石を砥石を使うより、軽メンテを挟むことで刃の摩耗を抑えられます。
研ぎすぎを防ぎながら長く使うコツ
初心者に多いのが、「切れ味が落ちた=すぐ砥石で研ぐ」と思い込むこと。しかし、研ぎすぎは刃が痩せ、包丁の形が崩れる原因になります。研ぐ目安は、「刃先が光って見える」「滑る、引っかかる感覚がある」ときだけ。日常的には、研ぎよりもお手入れの習慣が大切です。
☆使用後は中性洗剤で洗い、水気を完全に拭く
☆持ち運びする時は刃が当たらないように鞘を使用【實光刃物の鞘・包丁ケース】
☆月に一度、軽くシャープナーで刃を整える
こうした小さな積み重ねが、結果的に包丁を長持ちさせ、研ぐ回数を減らしてくれます。
實光刃物の包丁は、こうした日常ケアを前提に設計されているため、研ぎすぎず育てる感覚で長く愛用できます。
「日々のケアと定期的な研ぎで、包丁の寿命は何倍にも延びる」
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實光刃物 両面砥石 #1000/#6000(左側写真)両刃専用 ウォーターシャープⅢ(右側写真)
包丁を長持ちさせる研ぎとお手入れ習慣
包丁の切れ味を保つ秘訣は、「無理に研ぎすぎない」ことと「日常的なケアを怠らない」こと。
家庭での理想的な研ぎサイクルは、以下を目安にすると安定します。
| メンテナンス内容 | 頻度の目安 | 使用道具 |
| 日常のお手入れ(洗浄・乾拭き) | 毎回 | 布・柔らかいタオル |
| 軽い切れ味調整 | 1〜2週間に1回 | 簡易研ぎ器または革砥 |
| 本格的な研ぎ | 2〜3か月に1回 | 中砥石・仕上げ砥 |
| 刃先チェック・再研磨 | 半年〜1年に1回 | プロ研ぎ依頼も可 |
このサイクルを守ることで、包丁の刃持ちは格段に向上します。
特に鋼包丁は早め早めのメンテナンスを意識することで、研ぎの負担を軽減できます。
「日常ケアと定期研ぎを組み合わせることで、切れ味が長く続く」


包丁は「研ぐ」よりも「整える」道具。トマトの皮がスッと切れる瞬間は、正しいお手入れの証拠です。手間を惜しまず、少しずつ“自分の包丁を育てる”感覚を楽しんでみてください。包丁の素材や形状によっても理想的な研ぎ方は異なります。
用途別・素材別の詳しい情報やおすすめの包丁は、實光刃物公式サイト にてご紹介しています。
👉 實光刃物 公式オンラインショップ

「良い包丁と正しい研ぎで、料理はもっと楽しくなる」











