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ペティナイフは何に使う?三徳包丁とペティの違いを解説

ペティナイフの語源、由来はフランス語の「petit couteau」小さい包丁という意味からきています。その名の通り、ペティナイフは「小さくてかわいい包丁」として知られていますが、その用途は意外と奥深く、和食においても職人技を支える重要な一本です。
三徳包丁が万能型として広く使われる一方で、ペティナイフには小回りの利く形状と取り回しやすさがあり、特定の用途でこそ真価を発揮します。特に柔らかく崩れやすいフルーツ類の細工には適していて、フルーツ専門店などでは和食に通ずる引き切りをして、美しい形を作り出しています。これもペティナイフが和食にも適しているナイフの表れではないでしょうか。

本記事では、ペティナイフの基本的な使い方から、和食で活きる用途、三徳包丁との違いと使い分け方までを徹底解説。
用途別の具体例を通じて、料理の仕上がりに差がつく「ペティナイフ包丁の選び方と活用法」をお届けします。

なお、實光刃物では料理の流派や用途に応じた多彩なペティナイフを取り揃えております。

▶︎ 實光刃物のペティナイフ一覧を見る

日本では果物ナイフやフルーツナイフと呼ばれることもあります。しばしば、混同されがちな「ペティナイフ」と「果物ナイフ」ですが明確な違いがあります。では、ペティナイフの特徴にはどんなものがあるのかを解説していきます。

ペティナイフは切れ味が求められますが、果物ナイフはケースなどに入り食卓に置かれることもままあります。

ペティナイフとは?用途・特長・果物ナイフとの違い

ペティナイフ(Petty Knife)は、一般的に刃渡り120〜180mm程度の小型包丁を指します。語源は「小さい」「可愛い」を意味するフランス語「petit」から来ており、家庭用としても使いやすいサイズ感が特徴です。「小型の三徳包丁」「小型の牛刀」と表現されることもあります。

大きな包丁では扱いにくい果物の皮むき・飾り切り・小魚の処理など、細かい作業に向いており、和食・洋食問わずプロの現場でも使用されます。特に和食の職人は、細やかな包丁技術を要する場面でペティナイフを選ぶことが多く、技術を支える“繊細さ”に特化した一本とも言えるでしょう。

一方、果物ナイフとはペティナイフほど切れ味の鋭さはないことが多く、テーブルでの安全性が重視されます。家庭でのよりカジュアルなナイフと位置付けられます。

實光ではさらに小さい「パーリング」刃渡り80〜90mm程度のものもご用意しております。「パーリング」は刃が短いため、素材を手に持って切るときに扱いやすいのが特長の刃物で、大きな包丁では扱いにくい果物の皮むき・飾り切り・小魚の処理など、細かい作業に向いており、和食・洋食問わずプロの現場でも使用されます。
特に和食の職人は、細やかな包丁技術を要する場面でペティナイフを選ぶことが多く、技術を支える“繊細さ”に特化した一本とも言えるでしょう。

サイズの目安と刃の種類(両刃・片刃)

ペティナイフの刃渡りは、135mmまたは150mmが標準サイズで、用途や手の大きさに合わせて選ばれます。短いほど取り回しやすく、長めのものは少し大きな食材にも対応できます。また、刃の形状には「両刃」と「片刃」があります。

・ 両刃(両面に刃がついている):左右対称で、右利き・左利き問わず扱いやすい。

【白刃】ペティ 白刃(両刃)

【白刃】ペティ

白刃 VG10  白刃は實光の他のVG10鋼材の製品に比べて刃の作りが若干薄くなっているため刃の入り具合が軽く、VG10とは思えない切れ味を実感できます。ペティナイフではその感覚はより一層顕著に現れます。

 

 ・ 片刃(片面に刃がついている):より鋭利な切れ味が特徴で、刺身の引き切りや飾り   切りなど、和包丁的な用途に向きます。

【銀座 銀三鋼】 片刃 切付ペティ 【銀座 銀三鋼】 片刃 切付ペティ(刃先)


【銀座 銀三鋼】 片刃 切付ペティ

こちらは大変人気の高い實光独自の墨染法による銀座シリーズの銀紙3号鋼材のペティです。鋼と違いステンレス鋼を墨染にするとマットな仕上がりになり、かなり落ち着いた色合いになります。銀座シリーズの特徴である刃先が切り付けのため、より作業確認が容易です。銀紙3号鋼材のため研ぎやすく、片刃特有のしのぎがあります。銀紙3号ステンレス鋼材は研ぎやすいのが特徴の一つでもあり、ご家庭でも気軽にご使用いただける墨染の包丁です。ペティナイフで片刃包丁の仕事の美しさを楽しんでいただけます。

和食の現場では、片刃のペティナイフを使う職人も少なくありません。これは切り口の美しさや精度を重視する文化によるもので、使用者の技量によって選択肢が広がるのもこの包丁の奥深さです。

ペティナイフのメリット・デメリット

ここでは、ペティナイフのメリットとデメリットについて詳しくご説明します。メリットを見て使いやすいと感じる方は、今使っている大きめの包丁よりもペティナイフの方が適している可能性があります。

⭐︎メリット

・小型で軽量のため、取り回しが良い。
・女性や手の小さい人でも扱いやすく疲れない。
・長時間の調理でもストレスが少ない。
・刃渡が短く、先端が尖っているため、フルーツや野菜の皮むきがしやすい。
・じゃがいもの芽取り、アボガドの種取り、ミニトマトのような小さな食材のカットむき。
・狭いスペースでも活躍する。
・まな板の上だけでなく、食材を手に持って作業する際にも適している。
・収納しやすい。サイズが小さいのでキッチンの引き出しやスタンドに収まりやすく、場所を取らない。
・小さな刃なので、使用後にさっと洗えて衛生的。

⭐︎デメリット

・大きな食材や肉・魚の分解には不向き。→大きな食材には牛刀・魚の解体には出刃包丁
・刃渡りが短いため万能ではない。→万能としては三徳包丁
・あごの高さがないので、1本で全てをまかなうのは難しい。
・刃がまな板に当たりにくく、一気に食材を切り進める「押し切り」や「スライド切り」が難しい。
・刃が薄く繊細に作られているものが多いので、骨付きの肉や冷凍食品、かぼちゃなど硬い 食材を無理に切ると刃こぼれの原因になる。
・千切り、みじん切りなどには不向き。

つまり、ペティナイフは「補助的だが、非常に重要な一本」。三徳包丁のようなオールラウンダーとは違い、目的に応じて活躍の幅が変わるのが最大の特徴です。そしてその目的が明確な場合こそ、ペティナイフの力量を発揮できることは明らかです。

以下で実例を交えながら説明しましょう。

和食におけるペティナイフの用途と利点/繊細な仕事に最適

和食の世界では、様々な包丁が使われますが、その中でもペティナイフは非常に多用途で便利な道具です。そのコンパクトなサイズと鋭い刃は、細かい作業を正確に行うために不可欠です。

飾り切りや繊細な仕事に最適な理由

【白二】ペティ

白紙2号 ペティ

こちらのペティナイフは鋼の白紙2号を使用しているペティナイフです。鋼を使用しているのでステンレス材の包丁と比べると錆がでやすいことは否めませんが、切れ味が突出しており、細かい作業をするには抜群の力を発揮します。和食では、見た目の美しさや四季の表現が料理の価値を左右します。そのため、細かい包丁作業である、たとえば人参の梅切り、きゅうりの蛇腹切り、レンコンの花切りなどが頻繁に登場します。

ペティナイフはこうした作業において、大型の包丁よりも精密で安全に扱える点が大きな利点です。特に片刃仕様のペティナイフであれば、刃のコントロールが効きやすく、意図した角度でスッと切り込めるため、飾り切りの完成度が格段に上がります。

ペティナイフのみで作成された飾り切り

和菓子の調理にも活躍しています。練り切りなど和菓子の繊細な細工にもペティナイフは活用されます。

フルーツ・野菜の皮むきや下ごしらえ

和食では、柚子・かぼす・りんご・大根・にんじんなど、皮むきが重要な食材が多く登場します。ペティナイフは、果物ナイフのような軽快さを持ちながら、和包丁の切れ味も備えているため、皮を薄く均一に剥く、細かな芽を取り除くといった工程に最適です。

kappa SG2 和ペティ

【Kappa SG2】 和ペティ

粉末ハイス鋼SG2を芯材に3層からなるペティナイフ。ハンドルは「鉄砲型」で木材に染料を染み込ませてあり、木材の年輪やフシによって絵柄が変わります。ボディは美しいダマスカス模様が光り輝き、圧倒的な高級感が得られます。柄の曲が何気なく小指に引っかかり、このちょっとしたデザインが使いやすさに繋がっています。細部にまでこだわり計算された1本です。

ジャガイモの芽とり、生姜やニンニクの薄切り、ネギの小口切りなど小さな食材を扱う際に便利です。食卓でフルーツをカットしたり、チーズやハムを切り分けたりする際にも重宝します。

狭いスペースでの取り回しと小回りの良さ

業務用厨房や家庭の小さな調理台では、三徳包丁のサイズですらやや扱いにくい場面があります。ペティナイフは短く軽いため、狭いまな板や細長い皿の上での作業にも向いており、食材が滑りやすいときも安心して扱えます。特に、一品料理や弁当用の仕込み、繊細な盛り付け前の最終調整といった「目立たないけれど大事な場面」でこそ、この小型包丁が真価を発揮します。手元で作業がしやすいのも大きな特徴です。

例えば、りんごを剥く、カニの殻をむく、料理に添える薬味を細かく刻む作業は、三徳包丁よりも軽快に行えます。特にネギやニラを細かく刻む際、刃渡が短いペティナイフは手元が見やすく、安全性が高いと感じる人もいます。このように、ペティナイフは和食における「手先の延長のような道具」として機能します。
一流の料理人ほどこの特性を活かし、細工や盛り付けにこだわりを込めているのです。

▶︎ 實光刃物の厳選ペティナイフはこちら

三徳包丁との使い分けと選び方/ 選び方とお勧め活用法

ペティナイフと三徳包丁は、「使い分ける」というより「補完し合う関係」にあります。
それぞれ得意とする調理を比較すると、以下のように使い分けが明確です。

三徳包丁とペティナイフの使い分け早見表

調理内容・用途 三徳包丁が適する場合 ペティナイフが適する場合
キャベツの千切り ◎(広い刃と押し切りに適する) △(刃渡り不足で不向き)
果物の皮むき △(大きすぎて扱いにくい) ◎(小型で扱いやすく、精密に剥ける)
飾り切り・細工作業 △(やや不向き) ◎(精密なコントロールが可能)
鶏肉のカット ◎(ある程度の厚みが必要) △(厚みのある部位には不向き)
盛り付け直前の微調整 △(やや大きく、細かい調整は難しい) ◎(刃先が細く、操作性に優れる)

三徳包丁の特徴と守備

【特上】Non オーク 三徳・ペティ 2点セット

Non オーク 三徳・ペティ 2点セット

ステンレス鋼VG10 ダマスカス模様と槌目模様の切り付け。ハンドルは白オークで、心に近い部分を使用しているのでより一層白さが強調されており、清潔感、おしゃれ感が感じられます。ハンドルは八角形のため滑りにくい構造です。

戦後、日本の食生活は大きく変化しました。そこで、日本のメーカーは西洋の万能包丁である「牛刀」に着目し、和包丁の良さと融合させることを試みました。三徳包丁は「三つの用途に秀でた包丁」という意味で、肉・魚・野菜すべてに対応できる万能包丁として家庭で広く使用され始めます。刃渡りは165〜180mmが標準で、菜切り包丁の幅広の刃と牛刀の刃先の鋭さを併せ持った新しい安定感のある形状が特徴です。三徳包丁は1本で様々な食材に対応できる利便性から、高度経済成長期に急速に日本の家庭に普及しました。

近年では、「SANTOKU」という名称で、海外でも日本の万能包丁として広く知られています。

ペティナイフの和洋での使い分けと調理例

ペティナイフの和洋での使い分けと調理例

こちらの細工は、両刃ステンレス製のペティナイフ1本で施されています。柿をかぼちゃのランタンに見立て、中をくり抜いてファルファッレを入れています。顔をくり抜く場合は中までしっかりナイフの刃を入れてくり抜きます。片手にペティナイフ、片手に柿を持ちながら、細かい作業ができます。中をくり抜くことにより柿が器にもなりハロウィンパーティーに花を添えます。

フルーツプレートもペティナイフ1本で全て作られています

こちらのフルーツプレートもペティナイフ1本で全て作られています。刃渡り12cmのペティナイフがあればちょっとした飾りも手軽に作業できます。このようにペティナイフ1本あればご自宅でも楽しいフルーツの飾り切りが楽しめます。

和食の細かい飾り切り

和食の細かい飾り切り。小さな野菜をくり抜く、葉を美しく見せる。このような和食での作業もペティナイフが使用されることが多々あります。ペティナイフと三徳包丁は、「使い分ける」というより「補完し合う関係」にあります。先述したように、三徳包丁が不得意な分野をペティナイフが補うことで、ご家庭でもよりプロフェッショナルに近い一皿を演出できます。

また、和食では精密性が求められる工程が多いため、三徳1本で完結させるのは難しい場面もあります。とくに料理の見た目を重視する方には、2本持ちが強くおすすめされます。

2本持ちのすすめと購入時のポイント

CK三徳・ペティ2点セット

CK 三徳・ペティ2点セット

芯材に鋼の青紙スーパーを使用し、周りはステンレス鋼仕上げのハイブリッドスタイル。三徳包丁も18cmと他に比べてちょっと長めです。驚きの切れ味を体験できます。實光ならではの打ち刃物の特性を十分生かした包丁セットです。三徳包丁+ペティナイフの2本持ちは、プロだけでなく家庭料理にもメリットの多い組み合わせです。用途に応じた包丁を使い分けることで、作業効率・安全性・仕上がりすべてが向上します。

例えば、朝の準備はペティナイフで済ませることができます。朝の忙しい時間、以下に効率よくお弁当を作り、同時に朝食を用意するか。ひとつの道具で場所を取らずにサクサクと片付けていくのに、場所を取らず、手のひらで作業できるペティナイフは最高の相棒です。そして、夜、時間があるときはまな板を出して大きな食材をしっかり調理する。その時は三徳包丁を取り出して向き合います。

購入時のポイントとして、

・ペティナイフは手のサイズと用途に合わせて刃渡りを選ぶ(實光では12cm,15cm,18cmとご用意)
・三徳包丁は重さと刃の幅に注目して扱いやすさを重視(ほとんどのシリーズで三徳とペティナイフをご用意しているのでセット購入が可能)
・どちらもステンレスか鋼かなど素材も考慮(※鋼は研ぎやすく、切れ味重視)
特に實光刃物では、プロ仕様の本格ペティナイフから初心者向けまで幅広く揃えております。

▶︎ ペティナイフカテゴリーページはこちら

小型でも万能。和食にこそ活きるペティナイフの魅力

ペティナイフは単なる「小さな包丁」ではありません。特に和食においては、飾り切りや皮むきといった繊細な工程を支える必需品であり、料理の完成度を左右するほどの重要性を持っています。三徳包丁では対応しきれない精密作業を補うことで、調理の幅が広がり、料理人としての表現力も高まるでしょう。

また、素材の選び方ひとつで使用感は大きく変わります。たとえば鋼のペティナイフは、鋭い切れ味と研ぎやすさに優れ、飾り切りや精密作業に最適です。切れ味の復元性が高く、プロの和食職人に好まれます。ただし錆びやすいため、日々の手入れが求められます。

一方でステンレス鋼のペティナイフは、錆びにくくお手入れも簡単で、家庭用や初心者にも扱いやすいのが利点です。軽量で疲れにくく、近年では鋼に迫る切れ味のモデルも登場しています。このように、素材や構造、刃の形状によって最適な一本は変わります。

三徳包丁との違いをふまえ、實光刃物で最適な1本を選んでみてはいかがでしょう。

▶︎ 實光刃物では、プロも認める高品質なペティナイフを多数ご用意しております。
ぜひ用途に応じて最適な一本をお選びください:【實光刃物のペティナイフはこちら】

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)
「實光刃物(じっこうはもの)」は大阪の堺で明治33年に創業し、包丁(刃物)の製造と販売をしています。一期一会の精神で、お客様との瞬間を大切に。切れ味へのこだわりを胸に、日々技術の向上に励んでいます。技術の継承と共に、将来は世界中で愛される堺包丁のブランドを築き上げる夢を抱いています。
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