人気ワードYaiba万能片刃銀座包丁研ぎ修理砥石

Topics

堺包丁の魅力とは? -堺刃物の歴史と料理人に愛される切れ味の秘密

實光本店ショールーム

包丁と言えば、「堺包丁」と聞いたことはありませんか?

料理人の中では、「包丁といえば堺包丁」というほど、有名な包丁です。料理人を魅了して止まない理由は、抜群の切れ味であることはもちろん、緻密な鍛造で生み出される美しさにもあるといえるでしょう。

ここでは、堺刃物の切れ味の秘密を深掘りし、堺の包丁職人のこだわりや他産地との違いについてもお伝えします。また、堺包丁を作り続けて120年以上の實光刃物、おすすめの「万能片刃包丁」もご紹介します。

料理人の方にもご家庭で料理を楽しむ方にもぜひお使いいただきたい包丁です。

歴史の授業で、堺の古墳や戦国時代の鉄砲などを聞いたことがあるでしょう。様々な歴史的背景を持った土地「堺」が、包丁の町と呼ばれるまでの歴史は、全て今の包丁の造りの技術に繋がるものです。

ここからは、堺包丁の歴史について解説します。

堺刃物の起源と発展: 古代から続く職人技の結晶

堺の歴史は、2000年以上前の弥生時代から始まります。紀元前の時代に、「仁徳天皇陵古墳」を作るための道具やそれを作るための技術が堺に集結し、発展を遂げた時代です。

そして、戦国時代、堺は貿易の町として栄え、ポルトガルから伝来した鉄砲の技術が堺を更に有名にさせました。その時代、鉄砲を作るために鍛冶の技術が高まったと言われています。

直接的に今の包丁の基となったのは、江戸時代に作られた「たばこ包丁」です。たばこの葉を刻むために作られた包丁が、幕府のお墨付きをもらい、日本中に広まったと言われています。

年代 包丁の歴史
弥生時代 大阪堺にある世界最古の前方後円墳、仁徳天皇陵を作るための道具として使われていたと考える。鍬などの工具を作るための鍛冶職人が、日本各地より集められたことで、鍛冶の技術が高まる
戦国時代 ポルトガルから鉄砲が伝来。鉄砲の産地として堺が有名になり、鍛冶の技術が高まる
江戸時代 たばこの刃を刻む「たばこ包丁」が徳川幕府の専売になり、堺の刃物が全国的に有名になる
現在 和包丁の全国シェア90%以上、世界的にも有名な切れ味を誇る包丁を製造

堺刃物の起源となる「たばこ包丁」について

16世紀、戦国時代から江戸時代にかけて、ポルトガルからたばこの文化が伝来します。それと同時にタバコの葉を刻む「たばこ包丁」も一緒に日本に入ってきましたが、あまり切れ味の良い物ではありませんでした。

そして、たばこの葉が国内で栽培されるようになり、たばこ包丁の需要の高まりと共に、堺でも「たばこ包丁」が作られるようになりました。

海外から入ってきたたばこ包丁よりも、堺のたばこ包丁の切れ味が良かったため、江戸幕府よりお墨付きをもらうことになり、「堺極」と刻印されたたばこ包丁が幕府の専売品として日本中に広まることになりました。

堺包丁の分業制と切れ味の秘密

堺では「鍛冶」「刃付け」「柄製造」「柄付け」の分野に分かれて、分業制が根づいています。4つの分野のそれぞれの優れた職人が作業することで、高品質な包丁を生みだしていると言えます。

堺刃物の製作の分業体制

鍛冶 刃金を炉で熱し、ハンマーでたたき成形します。10以上の工程があり、そのたび高温の炉で刃金を熱して、何度もたたいて鍛えていきます。そして包丁の形にした「地」を仕上げます。
刃付け いくつもの砥石を使い刃を研いで切れる状態に仕上げていきます。包丁の種類によっては10種類以上の砥石を使い分けて研ぐこともあります。これらの工程を「刃付け」と言います。
柄製造 耐久性の強い木材を選び、包丁用のハンドルを造ります。
柄付け 刃付けされた刃にハンドルを付ける作業です。ハンドルに差し込む部分を熱して、ハンドルに差し込み、歪みを整えます。一般人が見ても分からない歪みを最終調整することで、切れ味が長く続く品質の高い包丁が仕上がります。

長年継承されている、各分野の職人の高い技術が堺刃物の高品質で優れた切れ味の秘密と言えます。

堺刃物と他産地との違い

日本には、三大刃物産地とよばれる地域があります。

三大刃物産地
・ 大阪府堺市
・ 新潟県三条市
・ 岐阜県関市

新潟三条市(燕市と三条市を合わせて燕三条ともいう)は農工具から始まり、その技術を刃物に取り入れて作っています。鍛造技術が優れており、丈夫な刃物を作るのが有名な点、長く使え、耐久性が高い刃物と言われています。

岐阜県関市は「世界三大刃物産地」として世界的に有名な刃物産地、刀鍛冶が有名だったため、包丁の文化も栄えたと言われており、芯が強い包丁として有名な包丁です。特に2代目が名工として名高い孫六兼元(関の孫六)の名前で関の包丁を耳にされる方もおおいかもしれません。堺と三条は打ち刃物なのに対し、関はプレスで作られている点が大きく違う点です。

大阪府堺市は、包丁を鍛造して造る「打刃物」。全ての工程が手造りで、片刃・鋼が主流の産地です。和食料理人の80~90%が堺包丁を使用していると言われ、刺身包丁や出刃包丁などの専門的な包丁が有名な産地です。

堺包丁の手造り工程
① 【鍛冶(かじ)】:刃物鋼材を熱して叩き、包丁の形に整える
② 【刃付け(はつけ)】:巨大な円盤状の砥石で削り、包丁の立体的な形を削り出す
③ 【柄付け(えつけ)】:包丁の中子を熱し、柄に差し込んで固定する

堺刃物は、これらの工程を全て手造りで行なうため、職人の技が求められ、その技術が長く受け継がれています。

實光刃物のこだわりの切れ味

實光は切れ味にこだわった「刃付け」をしています。「刃付け」とは包丁を切れる状態にすることです。包丁は「刃付け」をしなければ切れないので、實光刃物では購入時に全ての包丁を「刃付け」しています。

實光はこの「刃付け」にこだわりを持ち、高い評価を得ています。包丁は鋭く研ぎすぎるともろく欠けやすくなってしまうため、「小刃付け」という作業をし、切れ味と欠けにくさの絶妙なバランスを取っています。

實光の研ぎについて詳しく見る

また、更に切れ味を追求したい方のために「本刃付け」をさせていただいております。包丁の切れ味を最大限に引き出し、職人の技で抜群の切れ味を生みだしています。

本刃付けについて詳しく見る

堺包丁の片刃の魅力とそのメリット

堺包丁は優れた職人の技術で成り立っています。その職人の技から生みだされる抜群の切れ味は、繊細な料理をする料理人たちに高い信頼を得ています。

特に、鋭い切れ味が求められる片刃包丁は、堺の職人たちの技術が支えていると言っても過言ではありません。

ここからは、片刃包丁の種類や用途について詳しく解説し、實光刃物が生みだした万能片刃包丁を紹介します。

片刃包丁とは?包丁の種類と用途

両刃と片刃の構造の違い

片刃は刃の片側だけを砥いでいる包丁で、裏押しとしのぎがあり、鋭い切刃が特徴の包丁です。両刃よりも鋭く研ぐことができる包丁のため、繊細な食材を切ることに適した包丁と言えます。

鋭い切り刃で食材を切ると、食材の細胞がつぶれずにキレイに切れます。そのため、食材の見た目も味もより良くなります。

切れ味の良い包丁で切った断面は繊維がつぶれていない

細胞がつぶれずに切れた場合の細胞

切れ味の悪い包丁で切った断面は繊維がつぶれて旨味が逃げている

食材を押しつぶして切ってしまった場合の細胞

代表的な片刃包丁一覧

刺身包丁 刺身をひく 刺身包丁を見る
出刃包丁 魚をおろす 出刃包丁を見る
薄刃包丁 野菜を切る
桂剥きをする
薄刃包丁を見る
鎌薄刃 野菜を切る
桂剥きをする
鎌薄刃包丁を見る

實光刃物が生み出した万能片刃包丁

片刃万能包丁arata牛刀

實光刃物では、切れ味に特化した和包丁の特徴を持った、万能タイプの包丁を造りました。両刃の包丁に比べて切れ味が鋭く、柔らかい食材でも身をつぶすことなく切ることができます。

特に、肉や魚の身を切ることに適している包丁です。ワンランク上の包丁をお探しの方におすすめです。

万能片刃包丁について詳しく見る

世界中に広がる片刃包丁の人気

日本食は繊細な食材の味を活かす食文化のため、細胞を壊さない美しい切り方が求められます。そのため、切れ味が素晴らしい片刃包丁の文化が栄えたと考えられます。

そして、和食の世界的人気に伴い、日本の包丁職人たちの高度な手造りの技術も注目を浴びるようになり、片刃包丁の人気も世界に広がっています。

實光刃物が考えるこれからの堺刃物

實光本店ショールーム

堺刃物の伝統の技を継承するとともに、新しい感覚を取り入れ、今まで見たことのないようなデザインの包丁を生みだしていきたいと日々精進しています。

料理人の中では有名な堺刃物ですが、もっとたくさんの方に知っていただき、日本中、世界中の方に實光の包丁を使っていただきたいと思っています。

この記事を書いた人


實光刃物 四代目:實光俊之(じっこう としゆき)
「實光刃物(じっこうはもの)」は大阪の堺で明治33年に創業し、包丁(刃物)の製造と販売をしています。一期一会の精神で、お客様との瞬間を大切に。切れ味へのこだわりを胸に、日々技術の向上に励んでいます。技術の継承と共に、将来は世界中で愛される堺包丁のブランドを築き上げる夢を抱いています。【四代目 プロフィールを見る】

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)
「實光刃物(じっこうはもの)」は大阪の堺で明治33年に創業し、包丁(刃物)の製造と販売をしています。一期一会の精神で、お客様との瞬間を大切に。切れ味へのこだわりを胸に、日々技術の向上に励んでいます。技術の継承と共に、将来は世界中で愛される堺包丁のブランドを築き上げる夢を抱いています。
詳しくはこちら

関連記事