實光がサビにくい鋼材で製造しているのは、粉末ハイス鋼系とステンレス鋼系がございます。またそれぞれ使用している鋼材は、片刃包丁と両刃包丁で異なります。
片刃包丁に使っている鋼材の種類
鋼のタイプ | 鋼の種類 |
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粉末ハイス鋼 | ・STRIX ・SG2 ・SRS13 |
ステンレス鋼 | ・銀三 ・VG10 ・モリブデン鋼 |
両刃包丁に使っている鋼材の種類
鋼のタイプ | 鋼の種類 |
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粉末ハイス鋼 | ・STRIX ・SG2 |
ステンレス鋼 | ・コアレス(V2・V10) ・コバルトSP ・銀三 ・VG10 ・AUS10 ・VG1 ・モリブデン鋼 |
サビにくい系の刃物用 鋼材とは
一般的なサビにくい系(ステンレス鋼・粉末ハイス鋼は)の鋼材は切れ味が良くないと思われがちですが、刃物用で作られたステンレス鋼・粉末ハイス鋼の鋼材はサビにくくて、切れ味が良いです。また、ハガネ系の鋼材と同じように研ぐことが出来ます。
まずは、ステンレス鋼を説明する前に鉄と包丁に使う鋼材の違いを説明します。
鉄はそのままだと不純物が多いため、サビやすく脆いです。ですので、そのままだと包丁の鋼材としては不向きです。そこで、鉄に含まれる不純物を取り除き、そこに炭素を加える事で硬さが増し、包丁としての耐久性がでてきます。
この状態を炭素鋼と呼びます。
鉄(Fe)に炭素(C)を加えた物になります。
炭素鋼とステンレス鋼の違いとは?
炭素鋼にクロム(Cr)添加した鋼材で、クロム(Cr)の量が10.5%以上、炭素の量が1.2%以下の鋼材がステンレス鋼になります。クロム(Cr)を添加することでサビにくくしています。
刃物以外に使われるステンレスは、炭素(刃の硬さ、切れ味を表す要素)をあまり含んでいないので柔らかめの物が多くなりサビにくいです。例えば、ボールやお玉などです。
刃物用のステンレス鋼・粉末ハイス鋼の鋼材は、炭素を多く含んでおり格段に硬くなりますが、炭素を多く含むことで少しサビやすくなります。
「粉末ハイス鋼」と「ステンレス鋼」の違い
粉末ハイス鋼とステンレス鋼の違いは、炭化物の大きさが違います。
粉末ハイス鋼はステンレス鋼と比べると微細になります。刃の先端にくる炭化物は小さければ小さいほど刃先が鋭利になるので、炭化物の小さい粉末ハイス鋼の方が切れ味が良くなります。
粉末ハイス鋼とステンレス鋼を比較すると、切れ味の持続性(切れ味が長く続く事)が違います。
粉末ハイス鋼の方が切れ味と切れ味の持続性に優れています。
粉末ハイス鋼:切れ味と持続性を両立
料理人の場合は一日に切る量が多いなら、切れ味を長く維持できる粉末ハイス鋼がお勧めです。一日に切る量が多くければ数日に1度の研ぎで、おおむね良好な切れ味を維持できます。家庭用の場合は、数ヵ月に一度の研ぎでも切れ味を維持できます。
ステンレス鋼系の違い
コアレス、コバルトSP、銀三、VG10、モリブデン鋼がございます。ステンレス鋼の種類で切れ味が違います。
コアレスの方が切れ味が一番切れ味が良いです。ステンレス鋼の種類によってそれぞれ特徴が異なります。
サビにくい鋼材別 比較表
- STRIX
- 切れ味と持続性を両立させ、さらに研ぎやすいと言った包丁の中では最強の鋼材です。ハガネのような切れ味も特徴です。
- SG2
- 切れ味と持続性を両立させた鋼材です。サビにくい系の鋼材ではステンレス鋼系より優れています。
- コアレス
- 切れ味の持続性がステンレス鋼系の中で一番良いので、大量に仕込みをする時や包丁の研ぎの頻度を減らしたい時におすすめの鋼材です。
- コバルトSP
- ステンレス鋼系の中で一番サビにくくメンテナンスがしやすいです。また、切れ味の持続性も優れています。
- 銀三
- 銀三は切れ味が良く、ステンレス鋼系の中では比較的研ぎやすい鋼材です。
- VG10
- VG10はサビにくく切れ味の持続性も優れています。
- モリブデン鋼
- ステンレス鋼系の中では一番安価な鋼材です。