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材質(鋼材)

鋼材が切れ味を左右する

包丁を買うなら切れ味の良いものが良い、と思う方は多いでしょう。刺身のつまのような大根の細切りとか、玉ねぎやトマトのスライスなどを食べ比べてみるとよくわかりますが、切れ味の良い包丁で切るか、切れ味の悪い包丁で切るかで味が違います。特に食材を生で食べることの多い和食はこの違いが大きく出ます。だからこそ、和食の料理人は包丁の切れ味を追及し、食材ごとに最適な包丁が生み出されてきました。この切れ味を決める要素はいろいろありますが、もっとも大きな要因は材質(鋼材)の違いです。

和包丁の多くは鋼でできていますが、洋包丁の多くはステンレスでできています。基本的には、鋼の包丁の方が驚くほどよく切れます(最近ではステンレスでも特殊な製法で作られたものがあり、鋼に負けない切れ味のものもあります)。鋼の包丁を一度使ってみるとわかりますが、鋼の包丁はトマトでも滑らず、すっと包丁が入ります。この感触になれると、どうしてもステンレスの包丁では物足りない、とおっしゃる方も多いです。

もちろん、同じ和包丁でも、鋼の種類や、造った職人の技術の違いによっても大きく切れ味は変わりますが、まずは鋼材の種類が切れ味の目安とお考え下さい。

鋼かステンレスか

鋼材が鋼か、ステンレスか、というのは本当に大きな違いです。さらに、鋼もステンレスも、いろいろな金属を微量ずつ混ぜた様々なバリエーションがあります。具体的には、鋼なら青紙、白紙、黄紙、日本鋼など、ステンレスなら、銀三鋼、SG2、VG10、モリブデン鋼などがあります。

鋼かステンレスか

いろいろな金属を混ぜることで、より硬い、粘りが出てかけにくい、さびにくい、などの特徴を生み出しています。良く切れる包丁を作るためにはより硬い金属を使うのが原則です。軟らかい材質のほうが、刃が摩耗しやすく、せっかく研いでも刃先が丸くなりやすいのです。硬い材質であるほど、たくさん切っても刃先が摩耗しないため、切れ味が衰えません。これを長切れする、といいます。そう聞くと、一番硬い材質を使うのが良いと考えがちです。しかし、硬い材質を使うデメリットもあります。一つは、刃先が欠けやすいことです。もう一つは、研ぎづらいことです。

そもそも鋼の包丁は料理人が自分で研ぐのが一般的ですが、ステンレスの包丁はどれも鋼よりも硬く、研ぎづらいので、年に1回程度の本格的な研ぎは専門の研ぎ屋に依頼することをお勧めします。簡易シャープナーを使った簡単な日々のメンテナンス程度の研ぎは自分で行いましょう。つまり、鋼は自分で研いでこそ真価を発揮し、ステンレスはプロの研ぎ屋に任せてこそ真価を発揮するということです。
そのため、研ぎづらさが問題になるのは自分で研ぐ鋼の包丁です。鋼の包丁を選ぶときは、切れ味と研ぎやすさのバランスで選びます。ここまでの説明を読んで、硬い鋼材の鋼包丁を選べば良いと思った方が多いと思います。切れ味に関していえば、もっとも重要なのは研げていることです。良く研げていれば、100円均一ショップに売っているような包丁でもよく切れます。硬い材質の鋼でも、ちゃんと研げてなければ切れません。そのため、慣れないうちは鋼の中でも研ぎやすいものを選びましょう。實光で扱っている硬い鋼系の鋼材といえば青紙系ですが、研ぐのには技術が必要です。白紙系のほうが比較的研ぎやすく、白紙2号くらいが研ぎやすく、万人にお勧めできる鋼材です。料理長クラスのベテラン料理人でも、白紙系を好んで使う方が多いです。

100%鋼 別格の本焼き

本焼とは、鋼100%で造られた包丁のことです。これに対して、鋼と軟鉄の2つの金属をはり合わせて作られる包丁は霞とか、合わせと呼ばれます。この二つは鍛冶の工程が大きく異なり、本焼は日本刀と同じような鍛冶の方法で製造されています。この鍛冶の方法には高い技術が必要で、大変な手間もかかります。そのため、大変高価ではありますが、圧倒的な切れ味が実現できます。
和包丁でも洋包丁でも、硬さと折れにくさ(粘り)を両立させるために、複数の種類の金属を組み合わせて作ることが多いです。しかし本焼では、一種類の金属(和包丁なら鋼)だけで一本の包丁を作り出します。全体が鋼でできている本焼は、硬くするためのベストな焼き入れが出来るため、より硬くなり切れ味も増します。また、全体が鋼でできているということは、全体が刃になる素材だということです。研ぎ続けて金属がすり減り、無くなるまで長く使えるというのもメリットです。長く使用された本焼の刺身包丁が、何十年もかけて最終的にペティナイフのようになっているのをよく見かけます。ちゃんとメンテナンスして長く使うなら、コストパフォーマンスという面でも悪くありません。さらに、最高の切れ味で料理の味もよくなることを考えると、本焼しか使わない、という方がいるのもうなずけます。

とはいえ、合わせ包丁と比較すると、切れ味はよいですが、硬く研ぎにくく、また欠けやすく、折れやすい、というデメリットもあります。いずれにしても、切れ味の面でも、寿命の面でも、圧倒的に高性能な包丁であり、「いつかは本焼」と言われる料理人の憧れです。

研ぎやすさ

硬い材質ほど切れ味が長持ちする、ということは先に述べたとおりです。しかし、包丁を良く切れるようにするために、最も重要なのは研げていることです。まだ研ぎに自信が無い方は比較的研ぎやすい材質の包丁をお勧めします。實光で扱っている鋼材でいえば、白紙2号あたりが人気です。研ぎに自信がある方は、硬い材質を使うことで研がなくても切れる時間が長くなります(量が多くなります)。實光では青紙1号、2号が人気です。

また、料理人によって一日に切る量が大きく違います。ひたすら同じ食材を切っているような方は一日に切る量が多いですが、料理長ともなれば自分自身で切る量はそれほど多くないでしょう。一日に切る量が多ければ、硬い包丁を使わないと、仕事中に切れなくなり、営業中に研がなければならなくなります。そうならないように、硬い材質の包丁を使ったり、包丁を2本用意して使ったりする方もいます。

料理長のように、一日に切る量が少なければ、一日の間に切れ味が落ちることもないでしょう。それなら、極端に硬い鋼を使う必要もないかもしれませんし、それでも最高の切れ味を維持したければ硬い鋼を使うのもありです。また、本焼と霞(合わせ)では、刃先に同じ鋼を使っていても研ぎやすさなどに大きく差が出ます。やはり本焼の方が研ぐのは難しいです。

洋包丁は摩耗しにくいステンレス製が多いこと、また和包丁よりも切れ味への要求が多くないことから、研ぎについては和包丁ほど神経質にならなくても大丈夫です。普段はシャープナーで研ぎ、1年に一度、プロの研ぎ屋に研ぎを依頼するのが良いでしょう。

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